第19章 STUCK ON YOU◉轟焦凍※
「・・今日、卒業した」
「う、うん、私もしたよ」
「・・卒業した」
「ふふ、なんで何回も言うの」
すうすうと髪を香りを嗅いだ彼がゆっくりと私を覗き込んで、横を見上げた途端に降ってきた口付け
「やっと、お前と」
息が出来なくて何とか顔を離すと耳元で囁かれた声、そっと這った大きな手が私の身体を撫でる
悩ましげに顰められた眉と染まった目元があまりにも綺麗で、心臓の音が彼に聞こえてしまうのではないかと不安になった
「雄英生の間はだめって・・言ったから・・?」
「約束は守ってもらうぞ」
「え、い、今から!?」
卒業式当日だよ!?、ひょいと抱き上げられ押し倒されたシーツの上、轟くんがシャツを脱ぎ捨てて
ボタンが付いていないおかげで一瞬で脱げたそれを床に投げ捨てるとベッドがギシッと音を立てた
「ちょ、っと待って、ください・・」
「もう一秒も待てねぇ」
じたばたと抑えたスカートと胸元、愛しそうな手付きで腕を滑るその指先に声が漏れる
絡んだ舌先が甘い唇にちゅ、と吸い付かれると頭が逆上せて
あっけなく退かされた手はシーツに押さえつけられ、首筋に落とされた口付けが徐々に下へと下りていった
「・・おまえ、ボタンは」
低い音に一瞬凍った部屋の空気、息を上げている自分が恥ずかしくてじわりと視界が滲む
彼の人差し指が触れたブラウス、ひとつだけ無いそこを見た彼の表情が険しくなっていく
「あ、えっと、欲しいって言われて」
「誰に」
「えっと、二年生の」
強引に塞がれた唇、明らかに怒気を孕んだ気配が伝わって私は口を噤む
「俺以外の奴に」
「いや、あの」
弁解なんて彼が聞いてくれるはずもなくて、先ほどとは違う噛み付くような口付けが私の口内を犯していく
自分はネクタイもボタンも残っていないくせに、酷く傷ついた顔をしている彼は眉を寄せて、私をシーツに押さえつけた手が小さく震えている
「と、轟くん聞いて・・っ」
「二人の時は」
「焦凍・・っ、これ渡したの、」
ヒーロー科の女の子だよ・・!、半ば叫ぶように伝えると見開かれた冷たいその瞳に色が戻っていく
へなへなと力の抜けた腕が私の手を解放して、うっすらと跡のついた手首を見た彼が泣きそうな顔をした