第8章 急襲
『来ちゃダメ!』
「きゃあっ!」
地面からぎゅるんっと
影が伸びて沙捺を捕らえた
(そうか…沙捺ちゃんには
見えてなかったんだ
触れない限りは見えない…)
1度も遭遇したことがなければ
あやかしは見えることはまず無い
わざとみえるようにするとはできるが
人を襲うのに姿を見せる必要は無いだろう
「何!この黒いのっ!」
『沙捺ちゃんを離しなさい!』
ばっと手をかざすも
沙捺の首に黒い影が巻きついた
『ッ!』
【いいのか?
この子の首を折るぞ】
『っ〜〜!』
【お前が大人しく食われれば
この子は助ける】
『なっ、』
【どうする?】
「私に構わず
逃げてください!」
『沙捺ちゃん……
──じっとしててね』
「え?」
『わかった
条件を呑むわ』
【ふひひっ
見たところさっきの呪力は
狐憑きだな
ますます美味そうだ……】
ゆっくりと近づくと
沙捺と目が合う
今にも泣きそうな目が
逃げてと叫んでいるが
大丈夫と目で応えた
ゆらりと影がを
掴むとガシッとつかみ返した
【!?何を………!】
『運の尽きって言ったでしょ………っ!』
パァァァァ!
【ぐぁっ】