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イケメン源氏伝 〜時を超えて〜

第22章 手当て





「今日は部屋を訪ねて来るなり、
突然斬りかかられた」


(ええっ)


「この俺が天井に刀をぶつけるなどという
無様な真似をすると思うか」

『そういう問題じゃないし、
場所を選ばないにも限度があると思う……!
義経様もおおらかすぎませんか?』

「そういうものか?
あまり深く考えていなかったな」


義経様も鞍馬も、ぴんと来てない様子だ。


(鞍馬はあやかしだから感覚が
違うのかもしれないけど
まさか義経様がここまで
天然だったなんて…!)


「細かいことはよくわからないけれど
鞍馬は強い。多少の破天荒さには
目をつむってでも稽古をつけてもらう
価値がある
俺と契っているせいで呪力が削られている
にせよ、体術と剣術だけでとっても
類を見ない」

『呪力が削られてる?』

(どういう意味?)

「玉藻のやつから説明を受けなかったのか」

首を傾げていると、鞍馬が馬鹿にしたように
答えた。


「あやかしが人間と契りを交わすと、
呪力を分け与えることになる
契っている間は、使用できる力が落ちるのだ
玉藻の場合は、もともと義経によって
呪力の大半を失っていたせいで
もはや関係ないが」


(そうだったんだ……)


「早く力を取り戻した玉藻と戦いたいものだ」


鞍馬は義経様に挑発するような視線を向ける。


「続きだ」

「いいだろう」

『よくありません!』



稽古乗った続きをしようとする二人の間に
割って入った。


『義経様、私は安静にしてくださいと
お願いしましたよね?』

少し半目でじとりと睨みつつ問いかけた。

「……戦には行っていないが、
稽古もだめだったのか」

(そういう認識!?

与一さんが、義経様はすぐに無茶するって
言ってたけど、こういうことだったんだ
そもそも、安静の意味をわかって
なかったとは……)

は頭を抑えた。

「先ほどからうるさい小娘だ」

『鞍馬も、義経様を煽るようなことを
言わないで
義経様が傷つけば、悲しむ人達が
たくさんいるんだから』

「俺は魂が無事であればそれでいい
第一、義経は俺が認めた男だぞ。
多少動いたくらいでだめになるほど
やわなわけがなかろう」


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