第6章 側仕え
「皆、おはよう
これより軍議を行う
景時、報告を」
(わ………)
頼朝の声は奥の席まで
すぅっと通った
自然と背筋が伸びて
少しだけ緊張の汗が滲む
(落ち着いて
私はここに座ってるだけでいいんだから)
深呼吸をバレないように
繰り返す
「まず、調査報告です
平泉に送っていた斥候から
源義経が生きていたと──」
ザワっ
まだ言い終わっていないのに
武士たちは各々に喋りだした
「なんですと!」
「一大事じゃ!」
「義経め!死に損ないがっ」
(っ──!)
思わず膝の上で拳を握る
敵とは言えど1度助けて貰った身である
知らない人にとやかく言われて
少し苛立ちが募った
「静粛に────」
鶴の一声で広間は静まり返った
「義経が生きていようが
死霊となってでてこようが
私たちの使命は変わらない
──そうだね?」
「そ、そうだ!」
「我らには頼朝様がおられる!」
「武士としての使命を果たすまで!」
(ほんとすごいなこの人
玉藻の言う通り妖なんじゃ)
ジト目で頼朝を見ると
それに気づいた頼朝は
ニコリと笑った
(ヤバっ)
視線をそらそうとするにも
そらせず見ていると
(え?)