第4章 ちぎり
「呪力とはあやかしが持つ力
その一部をお前に分け与えた
それが────」
『契り?』
「あぁ」
妖しげな笑みを玉藻が浮かべると
を囲んでいた光が消える
「君!その姿は無事なのか?」
「、何があった」
心配そうに駆け寄る盛長と
冷静に聞いてくる頼朝に
交互に目を向ける
『一応無事みたいです
…けど私にも何がなんだか
分からなくて』
その様子を見ていた義経が
やがて目を細めて言い放った
「妖狐と契りを交わしたのか」
鋭い目がに突き刺さった
その視線を遮るように玉藻が前に立つ
「その通りだ
義経とやら、先刻は世話になったな
寝込みを襲われたせいで
呪力の大半を失ってしまった
どう責任を取ってくれる?」
「知らないな
わざわざ鎌倉に殺生石を
運び出した頼朝公を恨め」
『殺生石?』