第3章 最悪の再会
『まさか…あやかしに?』
「やはりこちら側の人間か」
「人知を超えた力を得たって
情報は本当か?
それもあやかし?
笑える冗談だ」
「それはあなた自身の目で
確かめるといい」
義経が刀を抜くと
不自然に髪が靡いた
吹き始めた風が痛いくらいに
吹き荒れる
(まるでこの人…義経様が
起こしてるみたい…)
風を操るあやかし
かまいたち?
いや、そういえば
義経様は幼い頃鞍馬山にいたはず
だとしたら──
凪咲に聞いた話と
自分のあやかし知識を照らし合わせる
「あの目はっ!」
よく見ると義経の片目が赤く染まっている
さらに目を凝らすと首には模様をした
痣が浮き出でいた
慣れているにしろ
恐ろしさでうなじの毛が逆立つ
「今夜は狐だけ殺して
平泉に引いあげる予定だった
だけど、こうして見えたのも
宿命だろう
………お覚悟を、頼朝公」