第21章 人質
「可愛い女の子が困ってたら
助けるのは当たり前だよ
というよりまた会えて嬉しいな」
(あっ、話しそらした!)
『私も嬉しいですけど、
な、ん、で、ここにいるんですか?』
「……」
「ふっ、」
私が圧をかけてもう一度問いただすと
与一さんが可笑しそうに笑った。
イケメンさんは少し困ったように
眉を下げた
「末春、別に話しても良いんじゃないの?
反乱軍としてもお前としても害はないだろ
それに、いずれ知ることになる」
「んー、まあそれもそうか」
『?』
色気のあるイケメンフェイスでにっこりと
笑って手をさしのべられた。
「───自己紹介がまだだったね
俺の名は橘次末春。
またの名を金売吉次」
「末春は商人でな
たまにここにも商品を売りに
立ち寄るんだよ」
『そうだったんですね…』
握手をすると自分の自己紹介を悩んだ。
(ここは姫としてすべき?
でもお祭で見られてるしなあ)
うーん、と頭を抱えていると
与一さんが口を挟んだ。
「、末春は全部知ってるぜ
狐憑きのこともな」
『えっ』
(…ということは)
ぱっと手を離すと、末春さんは
さっきのイケメンスマイルとは打って変わって
腹黒そうな笑みをうかべた。
───イケメンには変わりないが。
「そ。
一応戦の物資、人員を売ってるんだ
───よろしくね?狐憑きのお姫様」
『…よ、よろしくお願いします』
負けじと愛想笑いを浮かべた。
(やっぱり反乱軍側の人なんだ…)
「ま、今日は酒と俺の入用のもの
頼んだだけだけどな」
『入用のもの?』
「与一はね、陶芸が趣味なんだよ
だからその道具とか材料とか売ったんだ」
「末春の売ってる商品のが
いい物が多いんですよ」
『へえ、陶芸…』
(楽しそうだな……)
与一がの興味ありげな顔を見て
にっと笑った。
「やってみるか?」
『え?』
「とーげい、興味あるんだろ?」
『でも、…いいの?』
「たまにはこういうのもいいでしょ
てことで末春も来な」
「は?なんで」
「みんなでやった方が楽しいでしょーが
てことでしゅっぱーつ!」
『わっ』
与一に手を引っ張られて
何故か三人で陶芸をすることになってしまった