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イケメン源氏伝 〜時を超えて〜

第21章 人質







「───なるほど。
大方理解はしたが、不思議なものだな」

『自分でも不思議だと思ってます
体質を治す方法があるのなら
治してはいるんですけどね

それができないから祖母がこれを
作ってくれたんでしょう』


耳飾りを触りながら語る


『…義経様もあやかしに慣れているんですね
やっぱり、鞍馬といることが多いからですか?』

「それもあるけれど…
俺も子供の頃から、あやかしに狙われ
やすかったから」

『っえ、』

(私以外で初めて見た…)

『それは、どうして…』

義経様は昔を思い出すように、視線を落とす。

「俺の魂は人とあやかしの境目にあるのだと、
鞍馬と初めて出会った時に教えられた
そういう人間はあやかしを引き寄せるらしい」

(魂……)

義経様は黒い影がいた場所に視線を向ける。

「あやかしを怖いと思ったことはないけれど
異質な存在であることは感じていた
周りでは不審な事故や事件が多発し、
俺自身、大怪我を負ったこともあったな」

(そんな……)


『それじゃあ……あやかしと出会って
しまった時はどうしていたんですか?』

「黙って身を隠し、時が過ぎるのを
待っていた」

『周りの大人に相談、とかは』

(いや、私が一番わかっているでしょう)

相談しても無駄だということを

「俺は腫れ物扱いだったから」

『…腫れ物扱い?』

「俺は物心がつく前に鞍馬寺というところに
預けられていた
親の顔も今となっては覚えていない」

義経様は記憶を辿るように、言葉を紡ぐ。

「自分の素性も知らずに育ったのだけれど、
ただ疎まれているのは感じていたな」

(随分孤独な幼少期を過ごされてたみたい。
でも……)

自分の過去を頭の片隅に思い浮かべてから
口を開いた。

『意外です。
義経様にそんな過去があるなんて…』

「そうか?」

『……はい』

義経様に向けられる家臣達の目には、
いつだって崇拝の念が込められていた。

(身近にいる人達も…弁慶さんなんて
過保護って言ってもいいくらいだし、
与一さんも鞍馬も義経様のことを
特別に思ってるのがわかるから

そんな義経様が疎まれてたなんて、
信じ難い)


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