• テキストサイズ

イケメン源氏伝 〜時を超えて〜

第21章 人質







「どうやらまともに説明を
していないようだな
この席は与一が用意してくれた」

『与一さんが?』

「順を追って説明するとだな
今は毒殺未遂の下手人をあぶりだしてる
最中でさ
家臣達がぴりぴりしてて、
義経様に「護衛をつけろ」って
言うんだよなー

けど、当の本人は………」

「護衛はいらない」

「って嫌うもんだから、
俺と鞍馬が義経様につくことになったんだよ
俺達が一緒なら、家臣も安心するからな
護衛ついでに夕餉も三人で食うわけだ」

『なるほど……』

「護衛などと退屈なものをこの俺が
引き受けたつもりはないが」

(……確かに誰かの護衛をする性格には
見えない!)

「っていう面倒くさいやつもいるから、
美味い酒を開けたりして…
そんで、せっかくだから
宴にしちまおうって思って、
も呼んだんだよ
さすが与一さん、名案だなー」

与一さんは腕を組み、満足気に頷く。

「調子の良い奴め。
どのみち、酒は開けるつもりだっただろう」

「それには同感だ」

(義経様と鞍馬に対等に渡り合ってるあたり、
与一さんもただ者じゃないよね……)

『だけど与一さんはどうして
私を誘ってくれたんですか?
私は人質なのに宴なんて……』

肝心なことを尋ねてみる。

「宴って言ったら大人数でやるもんだろ
あんたも部屋にいてばっかで退屈だろうし、
ここはぱーっといきましょうぜ、ぱーっと!

っつーことで、はい、座って」

(ええ…?)

あれよあれよという間に、
宴に参加することが決まる。

(本当にいいのかな………)

「さーて、さっそく始めましょうか」

与一さんは手早く全員の器に酒を注いだ。

どう振舞っていいのか分からないでいる
私の顔を義経様が覗き込む。

「、この席での遠慮はいらない
どうしても気になるのなら、昼間、
理不尽な嫌疑をかけた詫びだとでも
思えばいい」

『そ、そういうことなら……』

(詫びなら変に気遣うのも失礼だよね)

『わかりました!ありがとうございます』

(とはいえ……)

試しにご馳走を一口食べてみたけれど、
正直緊張しすぎて味が分からない。

『………ん?』


/ 320ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp