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イケメン源氏伝 〜時を超えて〜

第21章 人質





「がいることもあるし、
今はそれなりに警備を厳重に
してるんだよなあ
それでもってことは、相当、
念入りに準備して潜り込んだってことですね」

「そうだな。見つけるには、
少しばかり時を要するだろう
それと…

…には今の件は
伏せるように言っておけ
無駄に動揺をさせる必要もない 」

「まあ、それについては俺も賛成です
人質になった挙句、毒殺騒動なんて
心が参っちまいますからね」

与一は器に残っていた酒を、一気にあおる。

「ったく、酒が不味くなっちまうなー」

「仕方がない
幕府に仇なす反乱軍の総大将だ。
俺の首は人気が高い」

「まーたそういうこと言って。
もうちょっと危機感持ってくんねーと、
弁慶に言いつけますよ?
こんなことを知ったら、あいつ、
鎌倉からすっ飛んで来そうだ」

「それは……
帰ってきた後も、内緒にしておく」


うっかり想像してしまったのか、
整った唇に微かな苦笑が浮かんだ。


そんなことが起こっているとも、
つゆ知らず……


_____________________________




『どうしよう……』


平泉に来てから三日がたち、
はある意味、
危機的状況に陥っていた


(あまりにもやることがなさ過ぎる……!)


はこの三日のほとんどを、
部屋の中で過ごしていた。


(部屋を出ることは許可されてるけど、
行ける範囲は限られてるし……
気分転換に外に出ても、
常に人目があるからちっとも休まらない)

それどころか余計に気を遣ってしまい、
疲れてしまう。


(視線がね、刺さってくるんだよね……)


歓迎されていないのは百も承知だが
放ってはくれないものか


(いやいや、こんなことで挫けてちゃ
後がもたないでしょ!)


『…よし!
薬でも作って、気分転換でもしよう』


実は鎌倉から、薬の道具と材料を
少しだけ持ってきていた。

道具と材料を取り出すと、早速作り始める。


(湯薬でも作ろうかな。
白湯はさっきもらったのがあるから、
薬ができたら溶かして……)


作業を進めていると、外が騒がしいことに
気づいた。


(何かあったのかな?)


首を傾げていると、音を立てて勢いよく
襖を開けられる。


(え?)


「入るぞ!そのまま動くな!」

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