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イケメン源氏伝 〜時を超えて〜

第21章 人質



『私行きます。行かせてください』


(これは、犠牲精神なんかじゃない
心が壊れる、それほどのことなんだろう
私だって怖いものは怖い

───だけど)


『私が行っても殺されることはない
と頼朝様は仰ってました
申し出を断る理由が私の気持ちだけなら…
私が少しだけ我慢して大勢の人が
助かるなら、自分の意思で平泉に
行くことを選びたいです!』


「ほう、ただ勢い任せで言った訳ではないと」

『そのつもりです』


(後悔しないように私なりに考えた結果だから)


「………」


真意を問いかけるように、
夜空の色をした瞳に見据えられる。

「周りは敵だらけ、
味方なんてただのひとりもいやしない
いくら人質とはいえ、
いざとなれば命の保証もねえ
そんな状況で───
お前は本当に大丈夫だって
胸張っていえるのか?」


『もちろん、不安もありますけど…』


(あの義経様なら……
きっと約束を破ったりしない)


『それでも、
自分にできることをしたいんです。
───それに、敵だらけなのは
正直慣れっこなんです』


にこりと笑って見せた


(そう、慣れっこだ)


「お前の覚悟はわかった」

『っ、それじゃあ…』

「反乱軍には了承の返事を送っておく」


(良かった!受け入れてもらえた…)


「景時もそれで構わねえな」

「ええ、
自分から行くという者を止める理由は
ありません
完全に予想外の展開ではありますが」

「まったくだ」

『す、すみません』

「ばーか、何謝ってる」


頼朝様が肩をすくめた


「お前はこの鎌倉幕府のために
身を削った務めをするんだ。
もっと偉そうな顔してろ」

『ええっ、こうですか?』

にやりと笑ってみせた

「下手くそ」

『頼朝様のを習ってみたんですけど…』

「よし、表出ろお前」

『冗談ですよ!
やっぱり偉そうな顔向いてないです!』


「会議中の征夷大将軍の話に
割り込む度胸はあってもですか」

(う…)

『…それを言われると返す言葉が
ないんですけど』


(だって今言わないと言う機会が
なくなっちゃうと思ったから)


言葉に詰まる私を見て、
頼朝様は笑みを浮かべる

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