第21章 人質
「どう?」
『すごく綺麗です』
「だよね、俺もこの景色は割と好きなんだ」
ビュウッと風がまた吹き抜ける
「このお祭りが終わって数日後に
君は鎌倉に戻るんだよね」
『はい、お世話になりました』
「こちらこそ
色々勉強になったよ」
『そうですか?』
(私、特に何もしてないけど)
それどころか巻き込まれて
迷惑をかけていたような
「今度あった時は狐憑きについて
調べさせてね!」
『お断りします』
(なんか怖いからヤダ!)
それから下級のあやかしを
何体か祓って鎌倉へと帰路に着いた
─────────
「よく戻ったな」
『ただいま戻りました』
「無事で何よりです」
「泰親さんになにかされなかった?」
『されてないよ、ありがとう』
「遠慮なく言っていいぞ」
『いやだからされてないってば』
(信用ないな!本当に!!)
今回京に行って1番の収穫は
泰親さんの優しい一面を見れたこと、
狐憑きの力をきちんと使いこなせたこと、
そして何より───
(義経様のこと少し、
知ることができた気がする)
「なんだにやにやして
やらしいことでも考えたか?」
『してませんよ!!』
怒るをからかう頼朝
それを見て可笑しそうに笑う仲間
すっかり鎌倉での暮らしが
慣れてきた頃、
ある出来事が起こったのだった───
「ふぅ、」
「珍しいですね、頼朝様が溜息なんて」
「つきたくなる時もある
事が事だからな」
頼朝が渡した紙は
反乱軍からの書状だった
「これは、」
景時は目を見張った
「人質交換だとよ
───狐憑きを」
「ですが、彼女は…」
「ああ、この件は一旦白紙だ
何せあいつはこの時代の女でもな」
「…そうですね」
景時が腕を組み思案する
「義経様にしては、
らしくない提案ですね」
「ああ、あいつなら構わずに攻め入ることも
厭わねぇだろ
誰かの入れ知恵かもしれねえな」
二人の間に短い沈黙ができた
ガラッ
『失礼します!!!』
「「っ!!」」
『今の話、詳しくお願いします!』
重たい空気はによって
一瞬にかき消された