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イケメン源氏伝 〜時を超えて〜

第20章 不思議なひと~義経side~





『っどうして…』

「はぐれないように

───何か問題が?」

顔を覗き込むと
の肌が少し赤くなった

『っそういう訳じゃありませんけど…』


(……?)


の赤く染まった顔を
見た途端心がざわめいた


『っ…行きましょう』

「ああ」

手を繋いだまま、
二人でまた雑踏を歩き出して…







(いたか)


「もう大丈夫だからな!」

「ひっく……お兄ちゃん、ごめんなさい」


少し先に進んだところで、
男の子達を見つけた。


男の子は藍色の着物を着ている子を、
ぎゅっと抱きしめている。


「兄ちゃんもごめんな。
あんなに怒ることなかったのに…
無事でよかった……!」


「どうやら見つかったようだな」

『はい…!』


(もう大丈夫だな)


繋がれていた手をそっと離した
手にあった温もりが消え、
少しの寂しさがよぎった


男の子は満面の笑みで、俺たちに向き直る。


「お兄ちゃん、お姉ちゃん。
一緒に探してくれてありがとう!
これからは弟と、もっともーっと
仲良くするね!」

「ああ」


(よかった)


これからもどうかこのまま
仲良くしていて欲しい
そう願わずにはいられなかった


『気をつけて帰ってね!
あ、送らなくて大丈夫?』

「大丈夫!家はすぐ近くだから」


男の子たちは風車を一本ずつ分け合い、
笑顔でお辞儀をする。

寄り添い合うその姿が
一本道の向こうに遠ざかって行くのを
じっと見つめた。

『良かったですね、仲直りできて』

「そうだな」

「………」

紫水晶に似た瞳に、
男の子達の背中が映っている。



『……私もそろそろ帰らないと』

「俺もだ」

(末春に何も言わず来たから
怒っているかもしれないな)


二人でゆっくりと歩いていると、
いつの間にか泰親の御屋敷の
一本向こう側の通りまでたどり着く。

ゆっくりと並んで動いていた義経の
影法師が、橋の真ん中でぴたり止まった。


『義経様?』

が少し遅れて義経の方をふりかえる

「当然だけれど、俺はこれ以上
そちらにはいけない。
ここでお別れだ、」


『近くまで送ってくれたってことですか?』

「…視察のついでに」

目を伏せて義経が微かに笑った。

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