第20章 不思議なひと~義経side~
町は先程よりも多くの人で
溢れ返っていた。
「ここには………いないようだな
次はあちらを探してみよう」
『そうですね』
「あっ!!」
「どうした」
不意に男の子が声をあげて立ち止まる。
「きれーな風車………」
『わぁ、ほんとだね、たくさん色がある!』
「あんなの初めて見た!
やっぱり祭りってすごいんだな」
「欲しいのか?」
「ううん、大丈夫。弟に悪いからさ…」
そう言いながらも、
男の子は風車にくぎ付けだ
(そう言いつつ欲しそうだ)
「待っていろ」
義経は風車を二つ買い、
男の子に差し出す。
「弟に会えたら渡すといい。
仲直りのきっかけにもなるだろう」
「っ…ありがとう!」
『良かったね!
きっと弟さんも喜ぶよ』
「うん!」
男の子が大事そうに風車を帯に差した。
「ここにもいないようだな。
もう少し奥へ行ってみるか」
しばらく歩きながら探し続けていると…………
「あっ!
あっちから弟の声が聞こえた気がする!」
男の子は繋いでいた手をぱっと放し、
道の向こうへ走っていく。
『待って、急に入ったら危ないよ!』
一歩踏み出したその時───
(っ)
が
人混みで押し流されそうになった
なんとか踏ん張ろうとしたようだが
耐えきれずにぐらりと身体が傾いて……
「」
腕を掴み、義経が支える。
(危なかった…)
「大丈夫か?」
『は、はい。すみません!』
今度は駆け足でどこかへ向かう男性二人組と
肩がぶつかりそうになる。
(仕方ないな)
「こちらへ」
義経はをぐっと引き寄せた
「危なっかしいな、あなたは」
『っありがとうございます』
「気にするな。もう行けるか」
『はい!もう大丈夫です』
「では子供を追いかけよう」
(また危ない目に合いそうだな)
義経は引き寄せていた身体を離し、
代わりにの手を握った
(温かいな)
こどものような体温だった