• テキストサイズ

イケメン源氏伝 〜時を超えて〜

第20章 不思議なひと~義経side~




『…ありがとうございます』


『…私が泰親さんの、阿部家の屋敷に
いることを、どうして知ってるんですか?』


(しまった)


これ以上は隠せまいと
義経様は少し躊躇ったように
口を開いた



「……実はあなたが京へ来ることを知っていた
そしてあやかしを退治していることも」

『えっ』

「縁のある商人づてに聞いていた
狐憑きが京にいるから
あまり関わらないように、と」

(すまない、少し嘘をついた)

を中心とした視察だとまでは
言えなかった

『そうだったんですね…』


(あくまで視察。
関わらないように───
そう思っていたのに)


「……あなたが危なっかしくて
身体が勝手に動いていた
──────あの時も。」


『え?』

(知らないままでいた方がいい)

あなたは優しいからきっと苦しむ

「……いいや、気にするな」

『はい、』

は改めて質問を口にした

『あの……義経様は頼朝様のこと、
どう思ってるんですか?』

「………」

一陣の風が私達の間を通り抜ける

「俺はあの人のことが………憎い」

『っ………』


(憎い、許すことはできない)


義経の為に死んでいった家臣たちの
顔がフラッシュバックする。

義経の瞳には怒りとも悲しみとも
取れない感情が浮かんでいた。



『殺し合う以外の道はないんでしょうか?』

「とうにその道は閉ざされた」

『っ、でも』

「どうして」

(なぜ)

「どうしてとこまで心を砕く?
あなたは巻き込まれただけだろう
俺と頼朝公が憎しみ合おうが
殺し会おうが……関係ないはずだ」

『っ、そうだとしても』


は酷く苦しそうな
哀しそうな顔を浮かべる




「」


『あ………』



伸ばされた手が、
の頬に触れようとして…





「……すまない」


(本当に俺は何をしているのだろう)


手を強く握りしめると、
踵を返しに背を向けた。



(、俺に同情するな
憎んだ方が苦しまずに済む)






そう
彼女は敵なのだから───




/ 320ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp