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イケメン源氏伝 〜時を超えて〜

第20章 不思議なひと~義経side~


『でも京は幕府の味方でしょう?
ここにいて大丈夫なんですか?』

「問題ない」

(末春もいるからな)

『そう、ですか』




どこからともなくお互い口をつぐみ、
無言の時にみを任せていると───



「おーい、おーーい……」


(子供の声…?)



木立の中から、小さな男の子が
姿を現した。


「なんだよ、ここにもいないのか」

『どうしたの?誰か探してるの?』

「あっ!人がいた!」

男の子は二人に気づくなり、
こっちへ近づいてくる。

「お姉ちゃん達、俺の弟を見なかった?
藍色の着物を着てるんだけど……」

『ううん、見てないよ』

「そっか……」

義経はしょぼんとする子どもに声をかけた

「はぐれたのか?」


子どもは一瞬びくりと肩を震わせるけれど、
やがて怖々と頷く。


「うん……。
喧嘩したら、あいつ走って
いなくなっちゃったんだ」

『そっか。それは心配だね』

(この人混みの中
加えて子どもだけだと見つかりにくそうだ)

「もとはといえばあいつが悪いんだ。
だけど俺も怒りすぎたかもしれない……
いっぱい探したのにどこにもいなくって」

男の子は小さな手をぎゅっと握りしめ、
涙を滲ませる。


「きっともう俺のこと嫌いに
なったんだ……っ」





(……っ)


(あれだけ恨んでいるのに)


ふと頼朝公の顔が浮かぶ


義経は静かに目を伏せた


『大丈夫───』
「簡単に兄を嫌える弟はいない」


が口を開いた時と同時に
義経が言葉を発した。


義経の言葉に、男の子は目を瞬かせた。

「本当に……?」

「ああ」

そっと、義経の手のひらが
男の子の頭にのせられる。

「けれど、これからは仲良くした方がいい
───人がいつまでも同じ道を行けるとは
限らないのだから」


(皮肉だが、これが俺に言える
最大限の助言だろうな)


月明かりに照らされた義経の横顔が、
白く暗闇に浮かんでいた。

するとは
男の子に目線を合わせ、優しく話しかけた。


『良かったら、お姉ちゃんが
探すの手伝おうか?』

「いいの?」

『もちろん!』

「では、俺もともに探そう」



その言葉に信じられないとばかりに
目を見開く



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