第20章 不思議なひと~義経side~
『そもそも何で
お面なんて持ってたんですか?
もしかして変装の為、とか』
「いや、」
(祭りの空気に当てられた)
「祭りの雰囲気は嫌いじゃない
少しくらい味わってもいいと思った」
「とにかく、
今はに危害を加えることは
ないと約束しよう
その代わり俺が立ち去るまで
騒がないことが条件だ」
義経の言葉を信じるか信じないか
一瞬迷う素振りをしたが
思いの外すぐに警戒を解いた
だがまたすぐに質問を投げかけてきた
『あの、今さらですけど
何故助けてくださったんですか?』
「それは…」
義経は表情を変えないまま口を開いた
(.........、と同じ、か)
「俺もあなたを断じる資格はないな
助ける手段を持っているのに
見過ごすのは後味が悪い」
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”治療する手段を持っているのに、
目の前で傷ついている人を見過ごすような
人に、人殺しのようなことは
したくなかった………です。”
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(あの言葉は忘れることは無いだろう)
を一蹴しつつも
矛盾が生じてしまうのは人間である以上
仕方の無いことだ
(あの人以外は…)
『っありがとうございます、義経様』
「勝手にやったことだ」
(本来であれば助けるべきではない)
(俺はこの人の”敵”なのだから)
ちくり、と胸に針を刺すような痛みが走る
ふとを見ると
酷く悲しんだ顔をしていた
「?どうかしたか」
『…っ、いえ、なんでもありません。』
(これ以上この人と深く関わる訳には
いかないな)
「そうか、では、俺はもう行く」
義経は踵を返した
『っ待ってください』
「なんだ?」