第20章 不思議なひと~義経side~
そう思って致し矢先
またもやに関わるとも知らず
義経は末春の所有する屋敷へと帰った
翌日───
「祭り?」
「ええ、京では有名な人祭りなんですって
俺も偵察がてらちょっと見回ってきます」
「見回る?」
「変な商売してないか
闇商人として、ね」
「そうか」
「義経のはどうします?
狐憑きの調査ですか?」
「いや、」
昨日接触してしまったことを
末春には言っていない
(少し控えるべきだな)
目を伏せ、の顔を思い浮かべる
「俺は適当に過ごすから
構わずに行って欲しい」
「んじゃ、行ってきますけど
あんまり目立った行動しないでくださいよ」
「承知した」
こくりと頷く
数刻後──────
(賑やかだな)
散歩がてら外に出てみたが
思いの外人が多い
ふと目に入ったのは狐のお面
(.........)
お祭りの空気に乗せられ
狐のお面を買った
(人の少なところへいこう)
少々人酔いしてしまった義経は
人気の無い神社へと足を運んだ
古い神社で風通しの良いところだったため
義経は木の上に登り町を眺めた
(京へ来たのはあの時以来か)
京へ来たのは陛下に挨拶をした時
以来だった、それも頼朝とまだ
決別していない時
(ん?)
思いふけっていると
下から話し声が聞こえた
(.........まさか)
声の方に視線を向けると
狐憑きの少女と数人の野武士
(あの人は何かと
巻き込まれる体質なのだろうか)
この前会った時でさえ
男に迫られ押し倒されていた
(.........目が離せない人だ)
頼朝や幕府の連中はさぞ
気が気でないだろう