第20章 不思議なひと~義経side~
『っあなたを信じて愛した人に
どうしてそんな扱いができるんですか!?』
(───ああ、そうか)
あの人は自分にされたことよりも
自分にとって何の関係もない他人の為に
怒っているのだ
「迷惑をかけられたのは僕だぞ!?」
『っ〜!』
は
ばっと立ち上がり上から男を睨みつけた
『セクハラの上に不倫なんて最っっ低!!
こんなこと、
隠し続けられると思ってるの!?』
「せ、せく??
ふんっ、金さえ払えばこうして
陰陽師を呼んで解決できるんだ
ざまあみろ!」
『いくら身分が高くてお金を持ってても
あんたの心は貧しいわ
変わり果ててまであんたなんかを
思って、愛した人のことを
なんでそんなふうに言えるの?
あんたなんかに騙されてる
奥さんも、あの女性も可哀想だ!』
「っこの!」
『っ!』
がっ、と腕を捕まれ押し倒される
(っ!!)
「言わせておけば好き勝手に言いやがって!
たかが町娘風情が、僕に刃向かって
無事に済むと思うなよ
泣くほど酷く抱いてやる
やめて欲しいと懇願しても
滅茶苦茶にしてやる!!」
『っ変態じじいっむぐっ』
目と口を覆われる
そこからはよく覚えていない
気が付けば駆けつけ男を気絶させていた
困惑しているを起こし
乱雑に口に放り込まれた布をとった
『あ、あの泰親さん、ありが、』
「…………」
(───なぜ)
自分でも驚いた
の口を手で覆っていた
(何か、嫌だった………?)
目と口を覆われていても
より困惑している様子がとれる
(貴方は本当に無茶をする)
怪我はないようだったが
もし俺がいなかったら・・・
はぁ、と溜息が漏れた
「っう、だ、誰だお前は……
どうやって屋敷内に入った!?」
「…………」
(───人の気配がもうひとつ
泰親か)
やむを得ずその場から立ち去る
「ま、待て!どこへ行く!
うっ、」
(───これ以上はと
接触しないようにしなければ)