第20章 不思議なひと~義経side~
『戦について、
もっとちゃんと考えてきます
ただ流されるだけじゃなくて、
命懸けで戦っている人達に恥じないよう
覚悟を持って戦場に立ちます。』
(───思った以上に強いひとだ)
優しくて、強い心の人だ
だからこそここにいるべきじゃない
「──そうか」
『っ』
「あなたは不思議な人だな
甘いことを言うかと思えば、
時折、芯の通ったところを見せる」
『そんなことはないですけど……』
「自分の命が危ういのに
敵兵の手当てがしたいと口にしただろう
──玉藻を助けた時もそうだ」
義経様はゆっくりと睫毛を伏せ、
ゆっくりと言葉を紡ぐ
「………誰にでもできることではない」
「そろそろ俺は行く長居をし過ぎた」
ぽつりと呟き義経は兵の元へ歩み寄ると
兵を背負った
「──
あなたとはもう戦場で出会わないことを
願っている」
『約束できません』
「────そうか
あなたならそういうと思った」
─────────・・・
戦から帰還した義経
平泉にて
「あ、おかえりなさい義経サマ」
「ああ、与一
怪我をした兵士に休暇と手当てを頼む」
「それはやっときますけど
義経様は怪我してないんですか?」
「俺は大丈夫だ」
「そんなこと言ってまた隠してたら
弁慶にいいつけますからね」
「───・・・」
「あっ、やっぱしてますね!」
「軽いものだ、心配ない」
「はいはい、手当しに行きますよー」
兵に心配されたくないと
義経は与一の部屋で手当を受けた
ふと義経が口を開いた
「───与一、」
「はい?」
「───・・狐憑きにあった」
「っ!」
「俺の、反乱軍の兵の手当てをしてくれた」
「ふーん、相変わらずお人好しっぽいですね」
「俺の刀を受け止めた時は驚いた」
「受け止めた!?」
持っていた包帯を落とす
「義経様、これは調査報告なんすけど」
「?」
与一が落ちた包帯を拾う
「───狐憑き、
の情報学何ひとつないんですよ
あの時俺らに会う前、
それも生まれた時から今までの」
「───・・・幕府が揉み消した可能性は」
「ないっすね
末春が調べてもまっしろだったんで」
「───のことを直接
調べるしかない、か
与一、末春はどこにいる?」