第20章 不思議なひと~義経side~
ザッ
踏み込んで頼朝公に迫る
『危ない!』
「頼朝様、お下がりください!」
よしっの一撃を盛長が受け止めた
「盛長!」
「くっ……」
風の異能で盛長の身体に血が滲む
それに気づいた盛長が飛び退いた
「大丈夫か、盛長!」
「ええ、深手じゃありませんから
ただ気をつけてください
あの風………まるで刃だ」
「流石は猛将安達盛長
よく避けたものだ
殺すには少し惜しい
こんな状況でなければ
もっと手合わせを楽しめただろうから」
ふと女性の方を見る
「あなたに個人的な恨みはないし
女の身を血なまぐさい争いに
これ以上巻き込むのは忍びない
ここから離れるなら命は取らない
……ただし、狐は置いて行ってもらう」
(邪魔だてするなら容赦はしない)
それ程までに頼朝公が憎い
(だからお願いだ
ここから離れてくれ)
(俺があなたを傷つける前に)
殺気を放つと
頼朝公が地をけった
「、行け!」
『でも!』
すかさず盛長が斬りつける
ふたりの攻撃をかわしながら
狐を抱ている女性を見た
『......っ見捨てることなんて
出来るわけない!!』
その時鈴の音が鳴った
(この音は?)
同時に斬り合っていた手を止め
女性の方を見る
「気に入ったぞ
───女」
パァァァァァッ
そのまま女性は光の中に包まれた