第20章 不思議なひと~義経side~
妖狐を斬ったものの逃げられてしまった
妖狐の後を追うため
二手に分かれ、与一と弁慶、義経が単独で
動くことに
鞍馬はたぶんどこかで暇つぶしでも
しているのだろう
森の中へ入り
聞き覚えのある声がした
(この声は女性の声?)
昨夜聴いたばかりの声だった
ゆっくりと近づくと女性の姿と
頼朝公、盛長がいた
(頼朝公)
「、これは命令だ
黙って俺に従い…
夜が明けたらこのことは
忘れてもらう」
『……っそんな勝手な』
「その必要は無い。
あなた方はここで終わるのだから」
「「っ!!」」
『あ……』
「───久しぶりだな、義経」
「感動の再会とはいかないみたいですね」
『源義経は頼朝…様に殺されたはずじゃ…』
「…貴方は…あの時の……
天幕から消えたから心配した
───だが、巻き込まれてしまったか」
(関係の無い女性を巻き込むのは
忍びないが仕方ない)
(そう、俺は)
「頼朝公を殺ため、
死の淵から蘇った
魂を人ならざるものに明け渡して」
『まさか…あやかしに?』
「やはりこちら側の人間か」
「人知を超えた力を得たって
情報は本当か?
それもあやかし?
笑える冗談だ」
「それはあなた自身の目で
確かめるといい」
言い終わると同時に刀を抜く
風の異能を使いながら
「あの目はっ!」
鞍馬の異能の効果だ
「今夜は狐だけ殺して
平泉に引いあげる予定だった
だけど、こうして見えたのも
宿命だろう
・・・・・お覚悟を、頼朝公」