第20章 不思議なひと~義経side~
手を掴み天幕まで案内する
女性はまたキョロキョロと
物珍しそうに見ている
(女性なら戦場にはなかなか
こないだろうからな)
「ここだ」
『あっありがとうございます』
「隣の天幕にいるから
何かあったら言って欲しい」
『は、はい
……おやすみなさい』
「…おやすみ」
そのまま天幕へと入った
「こんな戦場の近くの森で
女性がいたとは」
鎧を外し長襦袢に着替える
「あやかしが見えるのか…」
戦が終わり勝利した後
宴を開き皆が眠りについたあと
散歩がてら歩いていたら
まさかあやかしに襲われている
女性がいたとは
あやかしが見える側の人間は少ない
義経も見えるがこうもはっきり見える人は
珍しい方だ
「変わった格好をしていたが
悪い人には見えなかった……」
手当された腕を見て
女の顔を思い出す
(いや寧ろ、優しそうな人だった)
「あの人もあやかしなのだろうか」
あまりに綺麗な人だった
朝起きたら聞きたいことが
山ほどある
(俺は、あのひとのことが知りたい)
そう思いながら眠りについた