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イケメン源氏伝 〜時を超えて〜

第19章 陰陽師助手記録帳参



『気をつけて帰ってね!
あ、送らなくて大丈夫?』

「大丈夫!家はすぐ近くだから」


男の子たちは風車を一本ずつ分け合い、
笑顔でお辞儀をする。

寄り添い合うその姿が
一本道の向こうに遠ざかって行くのを
見ながら、義経様に話しかけた。

『良かったですね、仲直りできて』

「そうだな」

(義経様……?)

「………」

紫水晶に似た瞳に、
男の子達の背中が映っている。

(義経様には子供たちがどんな風に
見えてるんだろう?)

(少しだけ義経様のこと知れたと
思ったけど、やっぱり心までは
分からないな)

肩口が触れ合いそうなほど近くにいるのに、
義経様を遠くに感じた。


『……私もそろそろ帰らないと』

「俺もだ」

(そういえば、義経様はどうして
私が京にいることに何も
聞かなかったんだろう)


ふとした疑問を抱く


(義経様は視察でいらしてたし
もしかしたら私の情報も知ってたのかな)


二人でゆっくりと歩いていると、
いつの間にか泰親さんの御屋敷の
一本向こう側の通りまでたどり着く。

ゆっくりと並んで動いていた義経様の
影法師が、橋の真ん中でぴたり止まった。



『義経様?』

少し遅れて義経様の方をふりかえる


「当然だけれど、俺はこれ以上
そちらにはいけない。
ここでお別れだ、」

(もしかして…)

『近くまで送ってくれたってことですか?』

「…視察のついでに」

目を伏せて義経様が微かに笑った。

(あのまま別れてもよかったはずなのに…)

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