第19章 陰陽師助手記録帳参
『良かったね!
きっと弟さんも喜ぶよ』
「うん!」
男の子が大事そうに風車を帯に差した。
「ここにもいないようだな。
もう少し奥へ行ってみるか」
しばらく歩きながら探し続けていると…………
「あっ!
あっちから弟の声が聞こえた気がする!」
男の子は繋いでいた手をぱっと放し、
道の向こうへ走っていく。
『待って、急に入ったら危ないよ!』
一歩踏み出したその時───
(わっ)
人混みで押し流されそうになってしまう。
なんとか踏ん張ろうとしたが
耐えきれずにぐらりと身体が傾いて……
「」
(っ………)
腕を掴まれ、義経様に支えられた。
「大丈夫か?」
『は、はい。すみません!』
(っあれ?)
ふわりと香った優しい香りには
覚えがあった
(私、この香り知ってる)
一体どこで───
考えていると、
駆け足でどこかへ向かう男性二人組と
肩がぶつかりそうになる。
「こちらへ」
ぐっと引き寄せられ、
逞しい腕の中に庇われた。
(っ、近い)
「危なっかしいな、あなたは」
不自然にならないように
咄嗟に視線を逸らす。
『っありがとうございます』
「気にするな。もう行けるか」
『はい!もう大丈夫です』
「では子供を追いかけよう」