第19章 陰陽師助手記録帳参
『それじゃあ、
はぐれないようにお姉ちゃんと
手を繋ごうか』
(この子もはぐれたら元も子のないもんね)
「うん!」
男の子は満面の笑みを浮かべて、
私の手を握った。
そして、反対の手を思い切ったように
義経様に差し出す。
「お兄ちゃんも、はい!」
「…………」
(ちょぉぉおっと待ったぁ!!)
この人偉い人なのよ
いくら子供の純粋無垢さとは言えども…
『あ、あのね、この方は、
なんというか、えーと……
そういうことをする人じゃないっていうか』
(ダメだ!なんて言ったらいいの
そんな眼で見ないで!)
「これでいいのか」
(ワッツ!?)
⤴︎本日2度目
(えっ)
男の子の手を取った義経様が
淡々と問いかける。
「うん!行こう行こう!」
『わっ、待って!』
嬉しそうに歩き出す男の子に
引っ張られて歩き出す。
(何だか変な感じ、
私たちって周りからはどう見えてるのかな)
(家族……には見てないだろうな)
祭囃子の音が近づいてくるせいか、
なんとなくそわそわ落ち着かない。