第19章 陰陽師助手記録帳参
『本当ですか!?』
「お姉ちゃん、お兄ちゃん、ありがとう!」
男の子は泣きそうな顔を一遍し
満面の笑みで感謝を伝える。
(私はいいけど、でも…)
そっと義経様に耳打ちする。
『大丈夫でしょうか。
誰かに顔を見られたりしたら』
「俺が女子供連れで祭りに参加しているとは
誰一人思わないだろう」
『あ、それは確かに』
(絵面変だろうな)
「それに、いざとなれば
追われる身になっても一人で
活路を開くくらいのことはできる。」
(それだけ腕に自信があるんだな)
あの戦の様子を見ていれば納得だ
『…わかりました。そう仰るなら』
義経様はひとつ頷き、辺りを見回す。
「俺たちは先程からここにいたが、
弟の姿は見ていない。
町の方に出てみよう」
『そうですね、
お祭りの音に誘われてあちこち
回ってるかもしれませんし』
は男の子に向かって、
手を差し出す。