第19章 陰陽師助手記録帳参
(義経様?)
義経様の言葉に、男の子は目を瞬かせた。
「本当に……?」
「ああ」
そっと、義経様の手のひらが
男の子の頭にのせられる。
「けれど、これからは仲良くした方がいい
───人がいつまでも同じ道を行けるとは
限らないのだから」
(あ……)
月明かりに照らされた義経様の横顔が、
白く暗闇に浮かんでいた。
(こんなに悲しそうな顔をする人、
私は見たことがない)
表情は変わっていないはずなのに…
目の奥で静かに揺れている感情に、
胸が締め付けられる。
(どうしてこんな目をするんだろう?)
無性に気になったけれど…
(ううん、今はこの子のことを
考えてあげなきゃ)
男の子に目線を合わせ、優しく話しかけた。
『良かったら、お姉ちゃんが
探すの手伝おうか?』
「いいの?」
『もちろん!』
「では、俺もともに探そう」
(ワッツ!?)