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イケメン源氏伝 〜時を超えて〜

第18章 陰陽師助手記録帳弐




「………っ、無礼を働いて悪かった
これでいいか?」

「誠意が足りないかなぁ」

「っ………申し訳ありませんでした!」

「うん、いい感じ
じゃ、本番いってみて?」

(え?)

「は?…あの」


「だって俺は別に謝ってもらうようなこと
されてないし?
さっき実光様が悪いことをしたのは
さんにでしょ?」


(泰親さん……)


「この僕が庶民に謝罪を………?」

「嫌なら別にいいよ!
依頼人が怪異以外のことで破滅するのは
俺の責任じゃないしねえ」


泰親さんが手にした文をひらひらと振る



「わ…………私の行いが全て間違っていました
さん、どうか許してください
申し訳ありませんでした…!」



『っ私は』


(どうすれば)


泰親さんに視線を向けると
好きにしていいよと言わんばかりの
黒い笑みを返されてしまった


『……私は、助けてもらったので
傷ついてません
だけど、あなたが他の女性にしたことは
許せそうにないです

どうか、弱みを握られたからじゃなくて
本当の意味でご自身の行動を振り返って
ください』




「……そ、それはもちろん」


「無理じゃないかなあ」


「……っ」


「こういう人って、一生変わらないもの」



泰親さんは笑っているが
冷めた目で実光様を見下ろしていた

『泰親さん…』


(たしかに急に変わることはできないかも
しれないけど、)


「ま、いいや
次は生霊を飛ばした女性への
謝罪を今すぐ文にしたためて
書き終えたら、今、俺の手元にある文と
交換してあげる」


実光様はもはや抵抗する気もない様子で
のろのろと文机に向かって筆を走らせていく


しばらくして文が書き上がると、
泰親さんは約束を守った


「うう………」


(さっきとは別人みたい………)

自信に満ち溢れていた若い公家の顔は、
今はすっかり打ちのめされていた


「落ち込んでるとこ悪いけど、
依頼料のお支払いをお願いするよ
はい、これ請求書」


ぺらりと出された書面を見て
実光様が目を剥いた


「最初に聞いてた額と桁が違うぞ!?」


「払えるでしょ?
君の私的な財産から払えば、
奥方に知られないで済むぎりぎりの額に
してあげたんだから
まあ、当分は愛人も囲えなくなると思うけど」


(追い詰め方怖……)

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