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イケメン源氏伝 〜時を超えて〜

第18章 陰陽師助手記録帳弐




しばらくして──────


「いやあ、急にお邪魔してすみません」

「構わないけど…、
怪異について何か分かったのかな?」



私たちはなぜか依頼人である実光様が
怪異を恐れて身を潜めている先の屋敷にいる


(てっきり生霊の女性の行方を
追うものかと思ってあたけど)


どうやら泰親さんは違うようだ
後付けとやらに関与しているのだろうか




「ご安心を!
ばっちり解決に向かってますから」


ほっとした様子で実光様が息を吐いた


「念の為、この屋敷に霊的な護りを
施しておこうと思いまして」


「おお!それは有難い!
さっそく使用人に案内させよう」


実光様が立ち上がって歩き出そうとしたその時


「…っ、おっと」


軽くよろめいて、痛そうに顔を顰めた



『あの、足にお怪我を?』


(昨日は気づかなかったけど、
ちょっと足を引きずってるよね)


「情けないことに、
例の女から逃げようとした時に転んでね」


『良かったら、少し診察しましょうか?
私、一応薬師でもあるので』


(幕府で薬屋を開いてるうちに
頼朝様が薬師として働くことを
許可してくださってるから大丈夫だよね)



許可されていなくとも
痛がったり苦しんだりしている人は
ほうっておけない



「陰陽師の助手が薬師……?」


(あっ、忘れてたその設定)


「そのあたりは色々ありまして」



実光様が私と泰親さんを見比べ、
やがて白い歯を見せて笑う



「じゃ、お言葉に甘えて
彼女の手当てをうけようかな
泰親殿、君を待たせるのも悪いし、
悪いが一人で行ってきてくれないか
使用人を捕まえて私からの指示だと言えば、
どこにでも案内するはずだから」


「………」



珍しく迷うように泰親さんが
私に視線を注いだ



(あ、もしかして
私が見届けさせて欲しいって言ったから
気を遣わせてる?)



『泰親さん、私に構わず行ってください』


「──分かった
治療が終わったら誰かに俺の居場所を
聞いて追いかけて」

『はい!』

「では失礼しますね、実光様」


去り際
泰親さんがちらりと庭を見たような気がした



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