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イケメン源氏伝 〜時を超えて〜

第18章 陰陽師助手記録帳弐





(誰かこの人止めてー!!)

「あ!女将さん、お勘定は置いとくねえ
美味しかったよ」

「…?はい、どうも!」


嫌がる私を引きずっていく
泰親さんを見て女将さんは不思議そうに
首をかしげつつも
泰親さんの満面の笑みに釣られて
愛想良く見送る


『あっ、ご馳走様でしたっ』


何とか私も挨拶を返して
茶屋を離れた


(どうして素直に尊敬させてくれないの?!)


泰親さんの足がぴたりと止まり、
その間に息を整える


「あれ?見失っちゃった
でもまだそんなに遠くへは
行ってないと思うんだよね」


『………泰親さん』


「ん?」


往来を見渡す泰親さんの袖を引く


(だんだんわかってきたけど、
これ以上振り回されたくなかったら
泰親さん相手でも遠慮しちゃだめだ)



こちとら十数年あやかしに悩まされ
挙句の果てに鎌倉時代にとばされて
濃いキャラの武士たちに
鍛え上げられてる真っ最中である


天才陰陽師がなんぼのもんじゃい


『お仕事の続きを!しましょう!!
あの気持ち悪いあやかしなら
また見つかりますから』

「はぁい」


泰親さんが片手を上げ、
にっこりと笑った


「いいねえさん
君、助手に向いてるよ」

『狐憑きの力でさえ、何も
使ってないのに、心外すぎます』

「助手としての素質って、
多分異能以外にももっと
大事なことがあるよね
さてと、お仕事お仕事」


(はぁ、先が思いやられる…
ヤンチャな小学生を追い回してる気分だった)


泰親さんと並んで歩く
町娘が数人、私達の傍を通り過ぎた




「ねえ!ちょっと!あの男の人、
すごく素敵じゃない?」
「武士って感じじゃないけど、
麗しくて素敵!」
「あら!あのお姿は陰陽師の方よ。
きっと優秀でいらっしゃるんだわ」



きゃいきゃいと色めき立つ乙女たち



(まあ、かなりイケメンだしね
外見も能力も申し分ない、
と言うよりも極上なんだよ
中身がとんでもなく変わった人
だけどね)


熱視線を気にも止めず足を進める
泰親さんの横顔を複雑な気持ちで
眺めた







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