第17章 陰陽師助手記録帳壱
『泰親さんがどこまで私の能力に
気づいているのかは
知りませんが、その力も、
狐憑きの力も私はろくに
使えずじまいでした』
「………」
『私、あやかしはまだ平気なんですけど
幽霊とかが苦手で……』
「ん?なんで?
大差ないよそこまで」
『ありますよ!
だって物理攻撃効かないじゃないですか!
怖いです!』
「うん。」
(俺はさんが怖いな)
そういえばあやかしもこの間
殴ってたなと思い出す
『見えてきても
見えない、聞こえない、知らないふりを
していれば平和に過ごせるのかも
知れません
泰親さんのようにはなれない
狐憑きの能力も私の力も
偶然手に入れてしまった力に
過ぎない
でも、手にしてしまったのなら
私は、向き合いたいと
思います
どう使うのか、ちゃんと考えたいです』
「さん」
『──分からないまま
怖がりたくない
理不尽に踏み荒らされるのも嫌
この力を使えず守りたいものを守れないのは
もっと嫌です
だから、少しでも知識を増やしていきたい
私に覚悟を決めるためのきっかけを
探させて欲しいんです』
泰親さんの目をじっと見つめる
「…………」
すると、泰親さんの瞳がほんの少し
戸惑ったように瞬いた
「なんだか、新鮮な反応だなあ
こういうの」
『え?』
「大抵の人はお仕事中の俺を見たら
引いちゃうからさ
本職の陰陽師でもそうだから
君みたいな女の子が
必要以上にこっち側の領域に
踏み込んで来ようとするのは
ちょっと意外だった
むしろ、こっち側に踏み込まないように
頑張ってたんじゃない?」
『──否定はしません』
(でも)