第17章 陰陽師助手記録帳壱
『私は陰陽師の方の泰親さん
かっこいいと思いましたよ?』
「、っ」
(あ、戸惑ってる)
くすりと笑うと
泰親さんもつられて笑う
『今まではそうでした
でも頂いた力を貰うだけなら
いっその事使いこなせた方が
いいかなって思いまして
私結構図太いとこあるので』
「図太いって言うか、前向き?
君のこと見誤ってたかも」
次は私が正面から見据えられて
少し落ち着かない気分になる
「きみの気持ちはわかった
宿命の中で君がどんな風に抗うのか
楽しみにしてるよ?
──狐憑きの姫君」
(宿命、か)
「明日からもよろしくねえ」
(泰親さんのことまだよく知らないけど
こういう時は茶化さないでくれるんだな)
茶化すことも無く答えた泰親さんが、
自分の気持ちをまっすぐに汲み取って
くれたのだと感じて…
少しだけ頬が緩んだ
「私の力、とはなんのことだ
狐憑き。
いや、
あなたは何を隠している?」
先程、女性の生霊と陰陽師、
そして一人の少女が対峙している場面を
密かに見ていた人物は
独り言を残しその場を離れたのだった