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イケメン源氏伝 〜時を超えて〜

第17章 陰陽師助手記録帳壱





私の視線に気づいたように
泰親さんがこちらを向いた


「終わったよ、さん
怖がらせちゃってごめんねえ」


『いえ、お疲れ様でした
泰親さん
私こそ、何もできなくて申しわけないです』


「気にしなくていいのに
異能を使わない方がいいって言ったの
俺だし、」


思い切って尋ねてみることにする


『どうして最後、あんなこと言ったんですか?』


「あんなこと?」


『呪っていい、だなんて』


「んー、なんとなく?」


(はあ?)


へらりと笑う泰親さんの言葉に
なんとなく釈然としない


(でもこの人のことだから
追求してもはぐらかされる
可能性が高い)



迷った挙句、質問の方向を変える



『あの女性は恨みを持って
生霊になったんですよね
何がそこまで憎かったんでしょうか』

「さあねえ

だけどこれだけは言えるよ」



夜の風がざあ………と吹き、
木の葉とともに泰親さんの髪を闇に揺らす



「誰だって好きで生霊になる訳じゃない

好きで誰かを呪うわけじゃ、ない

時に、哀しい生き方になる人はいるものだね」



ズキン



(あ、またその顔。

それに、この言葉は、少し刺さる)



好きでこんな人生を歩んできたわけじゃない!


(また、あの時を思い出してしまう)




(さっきの泰親さん、凄かった
きっとこの人も何かを抱えて生きてる)



この先、この人に向き合う時
自分にも向き合うことになるだろうな




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