第17章 陰陽師助手記録帳壱
「今回は流石にちょっと特殊かなあ」
首を傾げたあと、
泰親さんが内緒話を打ち明けるように
の耳元に唇を寄せる
「陰陽師っていうのは
言ってみれば何でも屋だ
睦む男女に扮する小芝居も
仕事のためならしょうがないよね
だけど……
君が相手ならこういうのは
役得って言うのかも」
(こ、これ以上は身が持たない…!)
いつもの飄々とした態度とは違う
ギャップと色気に当てらる
部屋に漂う濃密な甘さの空気から
今すぐにでも逃げ出してしまいたい
もどかしい熱を逃がそうと
僅かに身をよじった瞬間──
『え……?』
じじ………と音を立てて
蝋燭の火が揺れた
(な、に…)
(寒い)
つま先から這い上がる冷たさに
ハッとする
「いらっしゃい」
の上から身を起こし、
泰親さんがふっと微笑った
(………!)
【あ……あ、あ………………】
部屋の中程に女性が立っている
(いつの間に……ううん、
気にするのはそこじゃない
身体が半分透けてる…
あやかしの場合私にははっきり見える
ということはあやかしでは無い
とはいえ人間でもない
これは、)
気づいた途端に恐怖で
息が浅くなった