第17章 陰陽師助手記録帳壱
(っな………)
艶めいた口調で囁かれ
頬に熱が集まる
(愛する男って…)
ドクンッ
(あ、まただ)
義経様の顔が浮かぶ
余計に頬に熱が集まり
真っ赤になる
「うん。いいね、そういう顔」
『っ別に意識してやった訳じゃ』
「そう?じゃあほんとに
俺を意識してくれたって
ことでいいの?
それとも、別の誰かを思い浮かべた?」
『泰親さん!』
(こんなの、反則だよ…)
「素直でいいねぇ君は」
くすりと微笑って泰親さんが
距離を不意に詰めて
(っ…………)
抵抗する間もなく身体が重なり
緩やかに倒れ込む
「いい感じだからこのまま続けるね?」
『待っ…』
(し、心臓が、)
ぎゅっと目を瞑り身を固くする
に泰親さんが囁いた
「力、抜いて
君が本当に嫌がることはしないから」
掴みどころのない態度の中で、
やけに真摯に響いたその言葉に
無意識に縋った
「手、俺に回して。
何もしてなくてもそれだけで
仲睦まじい夫婦に見えるよ
きっと」
『は、い』
おずおずと泰親さんの背中に
手を回す
「よくできました
いい奥さんだねぇ
──可愛いよ、さん」
(っだから、これは演技!演技なのっ)
どきどきする胸を抑える
『…いつも仕事の度にこんなことを
してるんですか?』
胸の鼓動を悟られたくなくて
小声で問いかけた