• テキストサイズ

イケメン源氏伝 〜時を超えて〜

第17章 陰陽師助手記録帳壱




【……憎い


……憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い】



この世の恨みヲタどす黒く
煮詰めたように
女性の顔は歪んでいた



(息、できない………


怖い)



あやかしは多少なり慣れているが
”幽霊”は専門外だ


(あやかしの気配はするのに、
この女性何かおかしい……?)


身体がすくみ、思考が凍りつく



これほどに邪気にまみれた
幽霊に会ったことは無い



【ゆるさ……ない──】



女性の身体が蜃気楼のように揺らぐ




次の瞬間、の目の前に
青ざめたかおが迫った



『っい、いや……』


【ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!】



鋭く尖った爪で頬を
引っかかれそうになって──






「待ってよ」




【ぎゃっ………】



泰親さんが指を鳴らすと
の目の前に見えない壁が
できたかのように
女性が弾き飛ばされた



(これって、泰親さんの陰陽術!)



「俺を素通りするなんて酷いなあ」


白い呪符が指先に翻り、
遠くの床に倒れ込んだ
女性の透けた手足を引きった



「簡易的な拘束術だよ
ちょっと大人しくしてて」


【やめろ……放せぇ!!】


「…………」


平然と女性の顔を凝視した泰親さんが
不意に眉を寄せる




(っどうしたんだろう

って、余計なこと考えずに
ちゃんと狐憑きの力を使わないと…)



かすかに残る恐怖心を振り払い、
震える足を踏みしめ
何とか異能を引き出そうと
集中するけれど──



「──ああ
さんも、ちょっと待って」


(え?)


泰親さんが静かに私を振り返った




/ 320ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp