第17章 陰陽師助手記録帳壱
『いえ、なんでもないです
ちょっと眠気覚ましの独り言というか』
「眠かったら寝てていいよ?」
(こんなとこでぐっすり寝れるか!)
『そういうの訳には…
というか泰親さんこそ
──いや、やっぱり一人の時に
怪異が現れたら困るので
寝ないでもらっていいですか?』
(別に、あやかしは怖くないけど)
一人で対処できるか自信が無い
「わぁ、
さんが寝かせてくれなーい」
『語弊がありますっ!』
い・い・か・た!!
(あーもう、緊張感が薄れる…)
「とまあ冗談はさておき
あんまり出ないのも困るし、
状況の再現をしよっか」
『再現……?』
長い袖口を探った泰親さんが
人の形に切り取れた髪を二つ
取り出した
「この人形(ひとがた)を
こうして……こう」
文机に向かうと、
泰親さんは筆を取り
二つの人形にそれぞれ
何かの文字を書いていく
(人の名前?)
『片方は実光様の名前ですよね?』
「そ、もう片方はその奥方の名前だよ
はい、こっちは君が持ってて」
『?わかりました』
とりあえず言う通りにすると
人形を握った手を包み込むように
泰親さんが触れる