第17章 陰陽師助手記録帳壱
翌日
『え?お屋敷に?』
「うん、依頼主の方が公家でね」
『てっきり森にでも行くのかと』
「あくまで俺の助手だから
仕事に付き合ってもらおうかなって」
『了解です
狐憑きの力をいつでも使えるように
しておきます』
「頼もしいなあ」
(本当に思ってるのかは謎だけど
お仕事の邪魔にならないように
しないと)
小さく拳を握り気合いを入れた
依頼人の公家
実光様というらしい
貴族の中でも名家の出だそうだ
「ああ、本当に困ってるんだ」
三十代半ばくらいの実光様は
すっかり憔悴しきった様子で
頭を抱えていた
「僕がどれだけ大変な思いをしているか」
「あ、そういう話いいんで」
「は?」
「なるべく詳しく怪異について
教えてください
いやぁ、楽しみだなあ」
(ちぉおおおい!)
そんな態度でいいのか
仕事できてるのに!
よく言えば自由奔放
悪く言えば傍若無人な態度の泰親さんに
実光様も困惑を隠せない
(もう心配になってきた)
「えーっと……」
隣にいる私に問うような視線を
投げられる