第16章 京
『あ、あのっ
その人は──』
そう言いかけた時
笠を被った男は艶のある唇に
人差し指を当てた
(黙ってろってこと?でも……)
シャラ…
太陽に反射した銀の耳飾りが
きらりと光る
「おい、聞いてんのか?」
「とっとと行けって…」
「どこかへ行くのは君たちの方だ
"彼女の手を離せ"」
「っ」
ぱっと手が離れた
(え?)
驚いたが今がチャンスだと思い
焦って笠の男の元へ行った
『……あの、』
「大丈夫。心配しないで」
(不思議な人…)
武士と言うには綺麗すぎる
その上妖しい色気も放っていた
(それに、さっきの)
男が咄嗟に離した手を見つめた
(なんだか見覚えあるような)
「"彼女に二度と関わるな
京から出ていけ"」
「「「………………」」」
3人組は虚ろな目をして
去っていった
(た、助かった…)
「…手、見せて」
『え?』
するりと手を掴まれる
「少し赤い…冷やさないと」
『だ、大丈夫ですこのくらい
それより助けてくださって
ありがとうございました』
ぺこりとお辞儀する