第16章 京
「でもおねーさん
涙目じゃん」
「泣かすなよー」
「俺じゃねえよ!
こんなに可愛い女
待たせてるやつが悪いんだろ」
「どうせ男だろ?
そんな男ほっといて
俺たちといいことしよーぜ!」
『っ!』
(こいつらしつこいっ)
力いっぱい手を握られて
気持ち悪さと痛みが増した
(や、泰親さんー!)
義経様──
「──ごめんね
遅くなっちゃった」
(!?)
「あー?誰だよ」
「俺がこの子と待ち合わせしてた男だよ」
「んなの知らねえよ
先に俺らが見つけたんだ」
「どっか行きな兄ちゃん」
(だ、誰?)
ていうか私
(今、義経様を呼んだ?)
どうして………
疑問に思っていると
3人組は笠を被った男に掴みかかろうと
していた
「ほら早くどっか行けって」
「早くしねぇと痛い目みるぜ」
「へえ、興味深いな
どう痛い目に合わせてくれるの?」
(ちょ、挑発したっ)
おそらく私の知り合いではないだろう
(私を助けるために一芝居売ってくれてるだけ)
そんな人を巻き込みたくはなかった