第13章 浅薄
そんな思いが頭の中に浮かんだが
最後まで言葉にすることを躊躇った
代わりに別の問いを投げかけてみる
『…もし頼朝様が義経様と同じ立場
だったら、今回の戦で私を殺しますか?』
「は……
誰にものを言ってる」
頼朝様は笑っているのに
周りの空気がすっと凍てついた
「俺は実の弟も手にかけようとした男だぞ」
ぞくっ
背中に嫌な汗が流れると同時に
頭の中でパズルのピースがハマっていく
感じがした
(……あっ)
ぱっと口元を手で覆う
────────────
「……矛盾は誰の中にもある
それを切って捨てることが出来る人間を
俺は一人しか知らない」
(──────もしかして…
義経様が言ってた人って頼朝様のことなんじゃ)
「さて、話はそろそろ終わりでいいな?
仕事については景時に話を通しておく」
『あっ、はい
よろしくお願いします』
答えの出ないであろう考え事を中断し、
は頼朝に頭を下げた
(何はともあれ
少しだけ前に進めた気がする)
今はそれで良しとしよう