第13章 浅薄
『──っ』
(やっぱり…そう思われるよね)
「──だが」
一呼吸置いて、頼朝は淡々と続ける
「お前は武士じゃねえ
──ましてやこの時代の人間でもねえ
刀に触れたこともない女が
戦場で他人の生き死にを
天秤にかけようっていう方が間違いだろ」
『──でも、どんな理由であれ
ここ(幕府)にいるとを決めたのは
自分の意思です
だから…戦についてもっと真剣に
考えたいと思っています』
(昔みたいに何もわからずに
怖がってるだけは嫌だから)
自分の体質の件で随分と
塞ぎ込んだ時期もあった
だがそれにも自分と向き合い
戦った
(やるだけやって
出来なかったらまた考えよう
──出来ることから始めるんだ)
ぎゅっと手を丸める
「なるほどな
随分と殊勝な心掛けだ」
頬杖をついた頼朝は皮肉っぽく笑った
「それで?
その様子じゃただ宣言しに来たって
わけじゃないんだろ」
『はい
手始めに側仕えの仕事以外にも
御所内でできる仕事をさせて欲しいです
まずは戦場で命をかける兵達が
何よりも信じてる幕府について
知りたいんです。』
どきどきしながら頼朝様の返答を待つ
「ったく
文句を言うどころかこちらに歩み寄って
来ようとはな」