第13章 浅薄
(この人に自分の考えを言うの
なんかちょっと緊張するけど…)
義経様に出会った時のことを
思い出しながら、真っ直ぐに見つめる
『……今回の戦で
自分の考えの甘さを思い知りました。』
月明かりに照らされた小屋で
義経様に問われた言葉は
まだ私の中から消えない
────────────………
「あなたは見過ごすのは
人殺しと一緒だと言ったな
ならば周りで人殺しをしている
味方の武士を見て非難するのか?」
『…っそんなつもりは……!』
「ない、と言えるのか?
人殺しをしたくないと言った、その口で」
『………っ』
「それだけではない
敵である以上、戦場で
相まみえる日が来るだろう
その時あなたが助けた兵が
仲間を討つ可能性は考えなかったのか?」
──────────────────………
『戦場で、義経様に言われたんです
敵兵の命を助けてしまった私の考えは
甘い……と
あの時、何も言い返せませんでした…
自分が助けた人が誰かの命を奪うってことから
……ずっと目を逸らしていたんです』
「……盛長から事情は聞いてる
──確かに胸焼けするほど甘ったるい
考えだな」