第13章 浅薄
話で聞くよりも、
歴史書を読むよりもよりも
目で見る現実の義経様の方が──
ずっと、ずっと、
「その上、戦術の切れ味も
恐ろしく鋭いときてるからね
今回の戦も、こっちの陣形に
ほんの少し綻びが生まれた瞬間、
凄まじい速さで猛攻して来た
判断の正確さといい、速さといい
──厄介な相手だよ」
『皆さんが言ってた通りですね…』
(そんな人と戦う方法なんて
私は未だに検討がつかない)
「異能のことを知ったら
兵達が動揺するから
まだ伏せているようだけど……
いざとなれば躊躇なく使う、
────それが義経様だよ」
『っ』
(……家臣を大切にする義経様と、
苛烈な戦い方をする義経様
どっちが本当の義経様なの?)
いくら考えても答えは出そうになかった
それから鎌倉に到着したのは
明け方だった
しばらく身体を休め
頼朝の部屋へ訪れた
「──ってことで、
幕府が本格的に介入したことで
今回の戦は和睦となった」
(そうだったんだ…!)
『あの、義経様はどうなりましたか?』