第13章 浅薄
「ほら、そう言ってるうちに
別部隊が挟撃の配置について
いるのがわかるかい?」
『…!』
盛長が指した方向に目を向けると、
苦戦する兵達を助けるように
猛然と駆けてきた味方の一隊が
義経様の背後に食らいつく
敵兵達も慌てたように動き出し、
義経様の姿は混戦の中に
紛れてしまった
(ダメだ、激しすぎて
何が何だかわかんない)
見入り過ぎて乾燥した目を
しぱしぱさせる
「これで仕留められる相手だったら、
苦労しないで済むんだけどなぁ」
『──まだ足りないってことですか?
数でなら味方の方が勝っているような
気がするんですが……』
盛長は唇を引き結び
首を横に振った
「俺の勘と、過去の経験を
考えると、残念ながらね」
『そうなんですね…』
複雑な思いをそっと胸にしまい込む
(初めて会った時も
さっき話した時も少ししか
話してないけど義経様は
悪い人ではないと思う)
だけど私にとって恐ろしい
敵というは変わらない
盛長の推測に対し
は残念がることも
喜ぶことも躊躇う
『────ほんとうに、
異能を使ってなくても
義経様は強いんですね』