第13章 浅薄
しばらく馬を走らせると、
高台に出る
「戦いが激しい地点の頭上を
通り抜ける
怖いかもしれないけど、
少し我慢して
地形的にここまで敵の矢は届かない」
『わかりました』
緊張感を抱きながら
少しだけ姿勢を低くする
斬り合う音や鼻につく
血の匂いについ、眼下を見ると──
『っあれは』
(義経様!?)
「死にたいものから────来い!」
義経様は華麗に馬を操り、
一人、また一人と兵を斬り伏せていく
(っ強い)
「くそっ、なんて強さだ……!」
「一人で相手をするな!
全員で行くぞ!!」
「数で押しても同じこと
試してみればいい」
「「「「うぉぉおおおおお!!」」」」
兵が一丸となって
義経に襲いかかる
────────が…
「──遅い」
キンっ
(なっ………)
義経の刀は向かってきた兵の胸を
貫いていた
(なんて速さなの!…)
もしや飛天御剣流の使い手!?
が義経の頬に
十字架の傷はあっただろうかと
思い出しているうちに
間髪入れずに、その背後から
刀が振り下ろされる
「隙あり!!」