第12章 信念
『戦について、
もっとちゃんと考えてきます
ただ流されるだけじゃなくて、
命懸けで戦っている人達に恥じないよう
覚悟を持って戦場に立ちます。』
(これが今私できることだ)
「──そうか」
義経様の瞳が、微かに揺れる
『っ』
(どうして、そんな顔をするの)
「あなたは不思議な人だな
甘いことを言うかと思えば、
時折、芯の通ったところを見せる」
『そんなことはないですけど……』
(不思議なのはあなたの方なのに……)
義経様の声が少しだけ
柔らかくなった気がして、
いつの間にか勝手に鼓動が加速する
「自分の命が危ういのに
敵兵の手当てがしたいと口にしただろう
──玉藻を助けた時もそうだ」
義経様はゆっくりと睫毛を伏せ、
ゆっくりと言葉を紡ぐ
「………誰にでもできることではない」
(それって……)
「そろそろ俺は行く長居をし過ぎた」
ぽつりと呟き義経は兵の元へ歩み寄ると
細身の体躯からは想像もできないほど
軽々と兵を背負った
「──
あなたとはもう戦場で出会わないことを
願っている」
(それは……)
『約束できません』
「────そうか
あなたならそういうと思った」
(またその顔)
少し寂しげな瞳が揺れる
(最初に会った義経様に会いたい)
それはもう叶わないことを知りながらも
願ってしまった