第12章 信念
「どうしてこの戦に参加している?」
『戦に出たことがなかったので、
その、少しでも戦場に慣れるように……』
(本陣は安全だったけど
最後の最後で安全じゃなくなったな)
追いかけられる恐怖
あやかしでも人でも怖いものは怖い
(もしかしたら
義経様に会う前に殺されてたかもしれない)
ぎゅっと知らぬ間に震えていた身体を
強く抱きしめる
「──
確かにあなたは戦いには向いていないようだ
玉藻と契りを解くためと
説き伏せられたのだろうが、
命を喪えば元も子もない
今のうちに幕府を出ていくことだな」
(まぁ、それだけじゃないんだけど)
私をこの時代に飛ばしたあいつの手がかりは
まだ掴めていない
(義経様の言うことはもっともだ)
『…軽々しく戦場に立つことはできないと
今日、私も思いました
──だけど一度引き受けたことを
簡単に断ることも………したくありません』
(ちゃんと向き合わなきゃいけない)
もしかしたらこの時代に
私にしかできないことがあるかもしれない
それがもし戦場に立って
戦うことも含まれているのだとしたら
立ち向かうしかない
元の時代に帰らないと