第12章 信念
「ど、どうし、て………
義経様が、ここに……」
(敵兵だとは気づいていたけど
まさか反乱軍の兵だったなんて)
義経が一歩前に出る
「喋るな、傷口に障るだろう」
「で、ですが………ぐっ」
(そうだ!ぼーっとしてる場合じゃない!)
はっとして
脇腹を押さえる兵の元へ慌てて駆け寄る
(この人が反乱軍の兵とか
今は関係ない
私の今すべきことは変わらない)
『少し痛むかもしれないけど
我慢してくださいね
なるべくすぐ終わらせます』
「あ、ああ………」
血で滲んだ布を取り払う
(………っ、思った以上に酷い)
水で洗った傷口は目を覆いたくなるほど深く、
改めて戦の凄惨さを痛感する
は医学部の大学を
1年早く卒業していた為
病院で研修を受けていた
医者の娘であった上に
尚且つ薬学の研究をしていたため
この時代の薬も卒なく覚えた
(私の時代ならもっと早く治るように
手当てできるんだけど)
この時代でできる精一杯の手当てを施す
(今回の戦には実際戦ってるところに
行ったわけじゃない)
安全な本陣にいて
怪我人の治療をしていただけ